中国の大通り

中国では車が並んで走れる大通りの、歩道側が閑散としていたり、あるいは塀やなんかだったりと、そっけない印象を感じることが案外多い。言葉にしづらいけれど。日本では目抜き通りにはわんさか人がいて、通る人向けのあきんどたちが店を構える。一方中国ではそもそも人通りが少なく、冷たい塀やガラスの壁が作り上げられる。

 

これはなぜか考えて見ると、前提としてそもそも中国では誰でも車で通れる公道がとてもマバラで、通りと通りの感覚がかなり広い。車通りが数百メートルおきにしかない。そうして出来上がった土地区画の中は自然と歩行者天国のようになる。その内側こそが中国世界での「目抜き通り」側であることが多い。車道で仕切ったブロックの中心に商店が集まる場所ができる。よくわからない雑貨屋さんとか、軽食を出す店とか。

 

だから、逆に中国世界での大通り側ってのは中国人にとっての意識の外側に当たる。日本では裏庭にゴミを投げ捨てるように、大通り側にゴミを投げ捨てる。(実際にゴミを投げ捨てることはないけれど、)大通り側にアダルトグッズの自販機をおいていたり、あやしぃオネーチャンのいるマッサージ屋さんができたりする。裏庭に置きたいものを公道に堂々と並べているようでどうにも違和感が拭えないと思っていたが、日本とは表と裏が逆になっているんじゃないか、と考えるとうまく説明できる。

 

日本でこういうちぐはぐなところはというと、ちょうど御堂筋の心斎橋あたりがこんな感じかもしれない。御堂筋を歩く人より、アメ村なり心斎橋筋商店街なり、裏側を歩く人のほうが多いせいで、御堂筋側は妙に閑散として見えることがある。